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古い車の部品が手に入らないときは?修理を考える際に知っておきたいこと
「故障した部品を交換すれば、まだ乗れるはずなのに」
長く乗ってきた車が故障したとき、そんなふうに感じることがあるかもしれません。
実際に、傷んだ部品を交換することで修理できる場合はあります。
しかし、年数が経った車では、修理に必要な部品がすぐに手に入るとは限りません。
部品が見つかるまで時間がかかることもあれば、メーカーからの供給が終了している場合もあります。
真野自動車整備でも、新品部品や中古部品が見つからず、別の方法を考えた経験があります。
今回は、佐渡で古い車を整備してきた経験をもとに、部品が手に入らないときに何を確認し、どのような選択肢を考えるのかについてお話しします。
「部品がない」にも、いくつかの理由があります
「修理に必要な部品がない」と聞くと、もうその部品は作られていないのだと思われるかもしれません。
しかし、部品がない理由は一つではありません。
例えば、次のような場合があります。
- 佐渡の部品商に在庫がない
- 島外やメーカーから取り寄せる必要がある
- メーカーの在庫がなく、入荷を待つ必要がある
- その部品の製造や供給が終了している
今すぐ手元にないことと、今後も手に入らないことは同じではありません。
まずは、必要な部品がどのような状況なのかを確認することが大切です。
佐渡では、部品が届くまでの時間も関係します
佐渡で車を整備する場合、必要な部品を島外から取り寄せることがあります。
一般的な整備部品であれば、島内の部品商から調達できる場合もあります。
一方で、車種や年式、故障した場所によっては、新潟市内やメーカーなどから取り寄せなければならないこともあります。
その場合、部品の在庫状況だけでなく、発注する時間や輸送の状況も関係します。
佐渡ではフェリーを利用した物流もあるため、天候や運航状況によって、部品の到着が予定より遅れる場合があります。
部品を注文できたとしても、届く日を必ず約束できるわけではありません。
修理にかかる日数を考えるときは、実際の整備時間だけでなく、部品が届くまでの時間も関係します。
新品部品が手に入らないときは、中古部品も探します
車の部品は、同じものがいつまでも作られ続けるとは限りません。
年数が経過した車では、必要な部品の製造や供給が終了している場合があります。
真野自動車整備では、新品部品が入手できない場合、中古部品を探すことがあります。
中古部品とは、別の車から取り外された部品のことです。
ただし、中古部品も必ず見つかるわけではありません。
同じ車種でも、年式や仕様によって取り付けられる部品が異なることがあります。
また、見つかった部品についても、状態を確認する必要があります。
中古部品が見つかったことと、その車に安全に使えることは別の判断です。
部品の種類や状態によっては、中古部品を使用することが適切でない場合もあります。
タウンエース・ライトエーストラックで、ブレーキ部品が見つからなかったことがあります
以前、トヨタのタウンエース・ライトエーストラック(YM6#系)が、ブレーキの引きずりで入庫したことがありました。
ブレーキの引きずりとは、ブレーキを踏んでいないときにも、ブレーキが十分に戻らず、効いた状態が残ってしまうことです。
確認すると、右側のブレーキキャリパーに固着が見られました。
ブレーキキャリパーは、ブレーキをかけるときに、ブレーキパッドをディスクローターへ押し付ける部品です。
ディスクローターにも熱が入り、少し焼けた状態になっていました。
必要なディスクローターを調べましたが、純正部品も社外品の新品も生産が終了しており、中古部品も見つかりませんでした。
既存のディスクローターには熱による変色が見られましたが、現車の状態を確認し、再使用できると判断したため、交換せずに使用しました。
一方で、ほかのブレーキ部品については、必要な整備を行っています。
ディスクパッドは新品に交換しました。
固着していたブレーキキャリパーは、シールキットを使用してオーバーホールしました。オーバーホールとは、部品を分解し、内部の状態を確認して整備する作業です。
キャリパーピストンも新品に交換し、ブレーキフルード(ブレーキを作動させるための液体)も交換しました。
部品が手に入らなかったのはディスクローターですが、ブレーキ全体をそのまま使い続けたわけではありません。
交換が必要な部品は交換し、再使用できると判断したディスクローターは、その状態に応じて対応しました。
ただし、熱による変色があるディスクローターを、一般的に再使用できるという意味ではありません。
再使用できるかどうかは、摩耗や損傷、熱による影響、適用される基準などを踏まえて、車両ごとに判断する必要があります。
ブレーキは車の安全性に直接関わる部分です。
部品が見つからないことと、再使用してよいことは別の判断です。
日産キューブでは、代替部品を使って処置したことがあります
日産キューブ(Z1#系)で、シフトレバーを操作できなくなったことがありました。
確認すると、シフトレバーとオートマチックトランスミッションをつなぐケーブルの、レバー側にあるプラスチック製の固定部分が破損していました。
オートマチックトランスミッションとは、車の走行に合わせてギアを切り替える装置のことです。
破損した固定具は外れ、フロアマットの上に落ちていました。

フロアマットに落ちていた破損した固定具

シフトケーブル接続部分・処置前
この事例では、在庫していた別の用途の部品を使い、現車の状態に合わせた個別の処置を行いました。
使用したのは、ディスクキャリパーのスライドピンに使うブッシュと、ブレーキシューに使うCワッシャです。
ブッシュは部品の間に入る筒状の部品、Cワッシャは部品が外れないように固定するための金具です。
今回使用したブッシュは、本体側のピンとケーブル側の取り付け部分に内径・外径が合い、ややきつめに収まる状態でした。
また、Cワッシャは、接続部分が抜けないようにするために使用しました。

別用途のブッシュとCワッシャ。今回の車両で使用した部品であり、ほかの車への流用を推奨するものではありません
処置後は、シフトレバーの動作が良好で、接続部分にがたつきや隙間がないことを確認しています。

代替部品による処置後。動作と接続部分の状態を確認した際の写真
ただし、今回使用したブッシュとCワッシャは、本来シフトケーブル用に設計された部品ではありません。
これは純正部品への交換修理ではなく、現車の状態に合わせて行った個別の処置です。
取り付け部分の寸法が合い、処置時の動作が良好であっても、それだけで長期間の保持力や耐久性、あらゆる使用条件での安全性を確認できたことにはなりません。
今回の事例は、ほかの車への同様の処置を推奨するものではありません。
部品が手に入らないときに別の方法を検討することはありますが、どのような部品でも代用できるわけではありません。
部品を製作したり、代替品を加工したりする場合もあります
真野自動車整備では、新品部品も中古部品も手に入らない場合、部品の用途や必要な性能、安全性などを確認したうえで、製作や代替部品の加工を検討することもあります。
ただし、すべての部品に対応できるわけではありません。
部品によっては、必要な強度や精度、材質などを確認しなければなりません。
また、車には、走る・曲がる・止まるために重要な部品もあります。
形を合わせて取り付けられることと、安全に使い続けられることは別です。
必要な性能や安全性を確保できない場合は、その方法での対応は行いません。
また、通常とは異なる方法で対応する場合は、どのような作業を行うのか、費用や日程にどのような影響があるのか、使用上の注意点はないかといったことも大切です。
予定していた方法で修理できず、別の対応や追加費用が必要になった場合は、作業内容と見通しを説明し、お客様の了承を確認してから進めることが大切です。
部品が見つかっても、修理の予定が変わることがあります
必要な部品が見つかったとしても、すぐに修理を終えられるとは限りません。
取り寄せた部品が届くまで待つ必要がある場合もあります。
また、実際に部品を取り外す段階で、サビや固着が見つかることもあります。
古い車では、部品の入手状況と、車そのものの状態の両方を確認しながら作業を進める必要があります。
そのため、「部品が見つかったから、予定どおりに修理が終わる」とは限りません。
修理の見通しは、部品の到着状況や実際の作業内容によって変わる場合があります。
また、部品を待っている間に車を使ってよいかどうかは、不具合の内容によって異なります。
安全に走行できるか判断できない場合は、無理に運転を続けず、整備工場やロードサービスなどへ相談してください。
中古車の整備でも、作業を始めてから分かることや、整備後に確認することがあります。
詳しくは、中古車の納車整備|整備を始めてから納車できる状態になるまででご紹介しています。
また、サビや固着によって整備が難しくなる理由については、シリーズ第2回「古い車のサビと固着。整備が難しくなる理由」でもお話ししています。
【今後の内部リンク:N-13「古い車のサビと固着。整備が難しくなる理由」/公開URL確認後に設定】
部品が手に入らないときは、修理以外の選択肢も考えます
必要な部品が見つからない場合や、安全に使用できる部品を用意できない場合は、修理を進めることが難しくなることがあります。
そのときには、部品が見つかるまで待つのか、ほかの修理方法を検討できるのか、車を乗り換えるのかといったことを考える必要があります。
ただし、部品がすぐに手に入らないからといって、必ず乗り換えなければならないわけではありません。
車の状態や必要な部品、日常生活での車の使い方によって、適切な判断は変わります。
佐渡では、通勤や買い物、通院など、毎日の生活に車が必要な方も多くいらっしゃいます。
修理にどのくらい時間がかかる可能性があるのか。
その間、車を使えなくても生活に支障がないか。
修理後も安心して使い続けられるか。
こうしたことも含めて考えることが大切です。
車を手放すことを考える場合も、年式だけで価値が決まるわけではありません。
古い車の査定、どこまで期待していい?では、古い車を手放すときの考え方をご紹介しています。
また、修理を続けるか、乗り換えるかの判断については、今後のシリーズ記事で詳しく取り上げる予定です。
【今後の内部リンク:N-18「古い車は修理する?乗り換える?」/公開後に設定】
まとめ|部品がないときも、安全に対応できる方法を考えます
古い車の修理では、故障した場所が分かっていても、必要な部品がすぐに手に入るとは限りません。
部品が島内にないだけの場合もあれば、メーカーからの供給が終了している場合もあります。
新品部品が手に入らないときは、中古部品を探すことがあります。
それでも見つからない場合には、今ある部品の再使用や、部品の製作・加工などを検討することもあります。
ただし、どの方法でも大切なのは、安全に使用できるかどうかです。
部品が手に入らないから、すぐに修理をあきらめる。
あるいは、何としてでも修理する。
そのどちらかだけで考えるのではなく、車の状態や部品の状況を確認しながら、できることと難しいことを整理していきたいと思います。
真野自動車整備が大切にしている考え方については、当社についてでもご紹介しています。
次回は、**「古い車は、これまでの整備履歴が大切です」**をテーマにお話しします。
【今後の内部リンク:N-15「古い車は、これまでの整備履歴が大切です」/公開後に設定】

