車検・整備・メンテナンス
ブログ
古い車の修理は、部品交換だけでは終わらないことがあります
車の調子が悪くなったとき、「壊れた部品を交換すれば直る」と考える方もいらっしゃると思います。
もちろん、部品の交換が必要な修理もあります。
ただ、実際の整備では、部品を交換する前に、どこに問題があるのかを調べることが大切です。
また、部品を交換しなくても、取り付け状態の確認や調整などによって症状が解消する場合もあります。
今回は、佐渡市の真野自動車整備で経験した、走行中のコトコト音を例に、部品交換以外にも大切な整備の仕事についてお話しします。
同じコトコト音でも、原因は一つとは限りません
車で道路の継ぎ目や小さな段差を通ったとき、コトコトという音が聞こえることがあります。
こうした音は、車輪の周りにある部品など、さまざまな場所から発生する可能性があります。
音が聞こえるだけで、どの部品に問題があるのかを決めることはできません。
そのため、どのようなときに音が出るのかを確かめながら、原因を調べていく必要があります。
タイヤ交換の際に相談された、走行中のコトコト音
以前、タイヤ交換でお預かりした車について、走行中の異音をご相談いただいたことがありました。
お客様のお話では、道路の継ぎ目や少しの段差を通ると、コトコトと音がするとのことでした。
そこで、まず試運転を行い、実際にどのようなときに音が出るのかを確認しました。
その後、車をリフトで持ち上げ、タイヤを左右や上下に動かして、足回りにガタがないかを点検しました。
これは整備士が車の状態を確認するために行う点検です。
さらに車の下側を調べていく中で、左前輪の近くにあるロアアームという部品が新しいことに気づきました。
ロアアームは、車輪を支える足回りの部品の一つです。
そこで、ロアアームと車体側の部品をつなぐボルトの締め付け状態を確認しました。
すると、取り付けボルトの締め付けが不足していることが分かりました。
ボルトがガタガタに緩んでいたわけではありません。
それでも締め付けが十分ではなく、適切に締め付け直した後、再び試運転をしたところ、相談されていたコトコトという異音は解消しました。
今回の事例では、新しい部品を交換することなく、確認できた不具合に対して処置を行いました。
症状を確かめ、順番に点検し、必要な処置を行うことで、異音が解消した事例です。
スタビライザーリンクでも、同じような音が出たことがあります
別の車でも、同じようなコトコト音を確認したことがあります。
このときは、スタビライザーリンクという部品の取り付け部分に、締め付け不足がありました。
スタビライザーリンクは、車が左右に傾く動きを抑える仕組みにつながる部品です。
この事例でも、取り付け部分を適切に締め付け直したところ、異音は解消しました。
今回ご紹介した2つの事例では、取り付け部分の締め付け不足が確認され、処置後に異音が解消しました。
ただし、同じような音でも、部品の摩耗や傷みなど、別の原因が考えられる場合もあります。
音だけで原因を判断したり、ご自身で足回りのボルトを締め直したりせず、整備工場で状態を確認してもらうことが大切です。
また、相談されていた異音が解消したことと、車のすべての部分に問題がないことは同じではありません。
ボルトが大きく緩んでいなくても、異音が出る場合があります
車の部品を取り付けるボルトは、ただ締まっていればよいというものではありません。
部品や取り付ける場所に応じて、決められた締め付けの基準があります。
これを「締め付けトルク」といい、整備では車種や部品に応じた基準を確認して作業します。
今回のロアアームの事例でも、ボルトが大きく緩んでいたわけではありません。
それでも締め付け不足が確認され、適切に締め付け直した後、異音が解消しました。
このように、見た目では分かりにくい締め付け不足が、異音に関係している場合もあります。
ただし、音が出たからといって、締め付け不足が原因とは限りません。
足回りは走行の安全に関わる部分です。締め付け状態の確認や処置は、整備工場に相談してください。
交換された部品も、現在の状態を確認します
部品が新しいことは、過去に交換された可能性を考える手がかりになります。
しかし、それだけで現在の取り付け状態まで分かるわけではありません。
今回の事例では、まず試運転で症状を確認し、足回りの点検を進めました。
その過程で、ロアアームが新しいことに気づき、取り付け部分の状態を確認する手がかりになりました。
なお、以前の交換作業がどのように行われたのか、締め付けが不足していた理由は分かっていません。
大切なのは、過去の作業を評価することではなく、現在の車の状態を確認することです。
修理には、原因を探す時間も必要です
車の修理では、交換した部品が目に見えるため、部品交換そのものが整備の中心に見えることがあります。
しかし、実際には、その前後にも大切な作業があります。
お客様から症状を伺うこと。
試運転で症状を確認すること。
関係する部分を点検すること。
原因として考えられる場所を一つずつ確認すること。
必要な処置を行い、症状が解消したかを確かめること。
こうした作業は、部品交換を伴わない場合でも必要です。
原因を調べるための確認内容や、必要な時間は、車の状態や症状によって異なります。
修理を考える際には、交換する部品だけでなく、どのような確認が必要なのかも知っていただければと思います。
点検や修理にかかる費用についても、作業内容とあわせて確認しておくと安心です。
原因を調べることも、修理の大切な一部です。
部品を交換するかどうかを、実際の車の状態から判断する考え方については、次の記事でもご紹介しています。
また、整備後の確認や試運転については、こちらの記事で詳しくお話ししています。
古い車では、確認する範囲が広がることもあります
今回ご紹介したような取り付け部分の締め付け不足は、古い車だけに起こることではありません。
年数が経った車でも、これまでの整備状況や現在の状態によって、必要な確認や修理の内容は異なります。
古い車だから必ず大きな修理が必要になるわけではありません。
一方で、整備履歴が分からない場合や、サビや部品の固着がある場合には、確認する範囲が広がることもあります。
佐渡では、潮風や冬場の道路環境などによって、車の下回りにサビが生じることもあります。
ただし、今回の2つの異音事例について、サビが原因だったということではありません。
また、必要な部品が手に入るかどうかも、修理を考えるうえで大切です。
年式だけで判断せず、今の車の状態を見ながら、必要な整備を考えることが大切です。
古い車との付き合い方については、次の記事でも取り上げています。
- 「古い車は修理できる?年式だけでは決まらないこと」(N-12/公開後またはURL確認後にリンク設定)
- 「古い車のサビと固着。整備が難しくなる理由」(N-13/公開後リンク設定)
- 「古い車の部品が手に入らないときは?」(N-14/公開後リンク設定)
- 「古い車は、これまでの整備履歴が大切です」(N-15/公開後リンク設定)
異音が気になったときは、どんなことを伝えればよいのでしょうか
車から気になる音がしたときは、無理に原因を判断する必要はありません。
「コトコト音がする」という伝え方だけでも、相談のきっかけになります。
さらに、どのようなときに音が出るかを教えていただけると、点検の手がかりになります。
例えば、段差を通ったときなのか、曲がるときなのか。
ゆっくり走っているときなのか、速度が上がったときなのか。
いつ頃から音がするようになったのか。
こうした情報が、原因を調べる際に役立つことがあります。
車からこれまでになかった異音がする場合は、音が小さくても放置せず、早めに整備工場へ相談してください。
特に、大きな異音や強い振動、ハンドル操作の違和感がある場合は、無理に運転を続けず、安全な場所に停車して相談することが大切です。
異音の原因はさまざまで、音の大きさだけで安全かどうかを判断することはできません。
車の不具合を相談するときに、どのようなことを伝えればよいかは、今後の記事「中古車を初めて整備に出すとき、何を伝えればいい?」でもご紹介する予定です。
(A-03/記事公開後に内部リンクを設定)
まとめ|部品交換だけが修理ではありません
車の修理では、壊れた部品を交換することが必要な場合もあります。
一方で、今回ご紹介したように、取り付け部分の締め付け状態を確認し、適切に処置することで症状が解消する場合もあります。
ただし、同じような異音でも原因はさまざまです。
大切なのは、最初から交換する部品を決めるのではなく、症状を確認し、原因を調べ、必要な処置を判断することです。
修理は、部品を交換することだけではありません。原因を確かめる作業も、車を安心して使うための大切な整備です。
次回は、「他社で修理を断られた古い車。整備工場が受け入れを判断する理由」(N-17)についてお話しします。
(N-17/記事公開後に内部リンクを設定)

